*フィードインタリフ制度(Feed-in Tariff)
日本のRPS法は、電気事業者(電力会社など)に、販売電力量の一定割合に、再生可能な新エネルギーを利用することを義務付けていますが、買い取り価格についての義務はありません。
今のところ、電力会社が自主的に電気料金に近い価格で買い取ってくれているという状態です。
そのため、太陽光発電システムを導入する側にとっては、どれくらいの期間で、初期投資が回収できるのか、採算の見通しを立て難いところがあります。
それに対し、欧州で増えている固定価格買い取り制度の場合は、長期間に渡って、買い取り価格が保証されています。
買い取り価格が保証されていれば、初期投資が何年で回収できるのか、計算しやすくなるので、安心して導入することができます。
また、固定価格買い取り制度では、初期の段階でシステムを導入するほど、買い取り価格が高く設定されるようになっています。
一般的に製品の価格は、普及するほど下がることが、過去の実績からわかっています。
大量生産できれば、生産コストや流通コストが安くなります。また技術開発が進むことで、さらに価格が安くなるという、好循環が生まれます。
したがって、製品の価格がまだ高い初期段階で、大量生産するだけの需要を作り出せれば、価格を下げる大きな効果が期待できます。
そこで固定価格買い取り制度では、製品の価格が高い初期の段階で、発電システムを導入した人には、買い取り価格(売電価格)を高く設定するというメリットを与えています。
しかも買い取り価格が、法律で長期間保証されているので、安心して発電システムを導入できます。
このメリットが、発電システムの需要を拡大し、大量生産につながります。大量生産できるようになれば、製品の価格は下がります。
そのため、後に発電システムを導入した人は、費用が安くて済むので、買い取り価格も安く設定される仕組みです。
買い取り価格は、定期的に調整されますが、既に発電システムを導入している場合は、そのまま維持されます。
つまり、リスクの高い初期段階では、大きなメリットを与えて普及を促し、リスクが低い後の段階では、メリットを小さくすることで、負担が平等になるようにしようという考え方です。
また、日本と欧州では、売電に大きな違いがあります。
日本では、発電した電力は、まず自家消費されます。そして余った余剰電力を買い取るという仕組みです。発電のみが目的の場合は、対象外となっています。
欧州では、発電した電力を全て買い取ってくれるため、事業化しやすい環境が整っています。採算が取れるなら、投資を集めて、大規模な発電を行なうことも可能です。
また、畑や遊休地をソーラーファームにして、発電を行なうケースも増えています。