市民共同発電所とは、文字通り、市民が共同で作る発電所のことです。現在では、日本全国で活動が広がっています。
市民共同発電所は、NPO法人(民間の非営利団体)や、市民グループが主体となって行なわれることが多いようです。
発電所といっても、太陽光発電や風力発電のような、自然エネルギーを使った発電です。太陽光発電システムの場合は、公共施設や一般家庭に設置することも可能です。
環境問題を意識する人は年々増えていて、「できれば私も何か貢献したい」と考えています。
でも、太陽光発電システムは費用がかかり、個人で簡単に導入することができません。またアパートやマンションに住んでいる人は、設置したくてもできないことがほとんどです。
そこで市民共同発電所では、考えに賛同する市民から出資金を集め、太陽光発電システムなどを設置する活動を行なっています。
例えば、200万円の太陽光発電システムでも、20人で出資すれば、1口10万円で済みます。さらに多くの人が参加することで、1人当たりの負担は、もっと少なくなります。
中には1口の出資を、さらに数人で分けることが可能なものもあります。数千円くらいなら多くの人が参加できます。
設置した太陽光発電システムで発電した電気は、電力会社に売電します。
この売電による収益から、設置場所を提供してくれた家主に賃貸料を払い、残りを出資者に分配する仕組みになっています。
通常、投資は利回りを重視します。投資額に対して、どれくらいのリターンがあるのかが大事です。
しかし市民共同発電所への出資の場合は、出資者や家主の経済的なメリットは多くありません。しかも出資金に相当する金額を受け取るには、20年以上かかります。
もしかしたら、太陽光発電システムの故障や、地震、災害などで、回収することができなくなる可能性もあります。
したがって、地球環境や再生可能なエネルギーへの貢献だと考えたほうが良いかもしれません。
市民共同発電所に出資することで、太陽光発電システムを導入することが出来ない人でも、自然エネルギーの普及に貢献することができるのです。
寄付金や補助金、助成金がある場合は、初期費用の負担が減りますので、早く出資分を回収できることがあるようです。
また、市民共同発電所の仕組みを維持するには、電力会社が長期間に渡って、安定した価格で余剰電力を買い取ってくれるなどの協力が欠かせません。
今後、太陽光発電システムの価格が安くなれば、市民共同発電所の採算がとりやすくなり、活動がもっと広がる可能性もあります。