経済産業省は、2010年度からの実施を目指しているようです。
固定価格買取制度とは、太陽光発電システムで発電した余剰電力を、電力会社が一定の価格で買い取ることを義務付ける法律です。
これまでにも、電力会社が自主的に余剰電力を買い取ってくれましたが、法的な義務はありませんでした。また売電価格も、通常の電気料金と同じ「24円/kWh」程度でした。
それが固定価格買取制度では、買取が義務付けられ、売電価格が約2倍の「50円/kWh」ほどになります。
24円/kWh → 50円/kWh
これにより、一般家庭への太陽光発電システムの導入が、しやすくなります。
単純計算で、これまで導入費用を回収するまでに、20年かかっていたものが、10年で回収できることになります。
「20年では長すぎる」と考えていた人も、10年なら現実的な年数です。それ以降はプラスになります。
ただし、今回の固定価格買取制度は、買い取り義務が10年程度の期間限定になるようなので、10年が過ぎると、元の価格に戻る可能性があります。
でも10年間の内に、導入費用の回収が終わっていれば、やはりそれ以降はプラスになります。
海外と違って、日本では、太陽光発電システムの余剰電力で「儲ける」ということにはならないようです。あくまで一般家庭への普及拡大が目的です。
そのため、風力発電は、固定価格買取制度の対象に含まれていません。
売電で利益が出るなら、積極的に投資する企業も出てくるでしょうが、そこまではいかないようです。
売電価格の値上げによる、電力会社の負担分は、一般家庭の電気料金に上乗せされる予定です。数十円~100円程度の値上げになると予想されています。
実際に、太陽光発電システムの導入費用がどれくらいで回収できるかは、各家庭により違ってきます。
発電量はもちろん、家族構成や生活スタイルによって、消費電力が大きく変わってくるからです。省エネルギーに対する意識でも差が出ます。
まず、太陽光発電システムを導入することで、自家発電できるため、電力会社からの買電が減るので、節電になります。
もし発電量が消費電力を上回れば、売電できるので、その分がプラスされます。
でも、太陽光発電システムを導入する際に、ローンを組んでいたら、その金利分がマイナスになります。
つまり「節電分 + 売電分 - 金利」が一年間のメリットになります。
既に再開されている太陽光発電の補助金制度と、固定価格買取制度を組み合わせることで、初期投資を回収する期間が、さらに短くなります。
固定価格買い取り制度は、既にドイツが実施していて、効果を出していますが、内容には違いがあります。
ドイツでは発電した電力を全て売電できますが、日本では売電できるのは、余剰電力に限られています。
またドイツでは買い取り期間も20年と長いです。そのため、安定して利益が出やすい仕組みになっています。
ただドイツの場合は、その分、一般家庭の負担分が大きくなっています。
太陽光発電システムを導入するには、200万円以上かかるため、導入できる家庭は限られています。導入できない家庭は、毎月の電気料金が増えるだけなので、不満の声も出ているようです。
しかし、太陽光発電システムの普及は、地球温暖化などの環境対策につながります。人類共通の利益になることを考えると、多少の負担はしかたないのかもしれません。