グリーン・ニューディールとは、米国のバラク・オバマ大統領が打ち出した、経済政策です。米国政府が環境への投資を行なうことで、経済危機を克服しようとするものです。
この背景には、サブプライム問題から始まった、米国の経済危機があります。
アメリカは1930年代に、当時のフランクリン・ルーズベルト大統領による、ニューディール政策によって、大恐慌を乗り越えた例があります。
ニューディール政策は、農業やダム、社会保障などの、従来型の公共投資でした。
グリーン・ニューディール政策の場合は、従来型の公共投資ではなく、太陽光発電や風力発電、バイオ燃料など、環境関連ビジネスへの投資が特徴です。
米国政府は、10年間で15兆円の投資を行い、500万人の雇用創出を目標にしています。
新しい分野の雇用を作り出すことで、不況を脱出し、経済を再生しようとする計画です。
これまでは、経済と環境は対立するものと考えられていました。環境を優先すると、コストがかかるため、企業の競争力が低下するからです。
そのためブッシュ政権は、環境問題に消極的でした。
しかし、次の時代は、再生可能な自然エネルギーを制したものが、世界をリードするとまで言われるほどに、環境関連ビジネスが期待されています。
対立から両立へと、考え方が変化しているのです。
実際にアメリカでは、太陽光発電や風力発電などのクリーンエネルギー関連の仕事が増えています。
特にカリフォルニア州やテキサス州は、クリーンエネルギーに積極的です。
家の屋根に太陽光発電システムが取り付けられている風景や、大型の風車が数千台も並んでいる風景は圧巻です。
太陽光発電のパネルを製造する工場や、パネルを取り付ける工事では、雇用が増加しています。
同じように、風力発電でも雇用が増えています。商用の風力発電システムは大型なので、その製造やメンテナンスには、多くの人手が必要です。
クリーンエネルギーによって、新しい就職の場が生まれていることは、すばらしいことです。少し前に、IT産業によって、雇用が創出されたことに似ていますね。
また米国のグリーンニューディール政策では、スマート・グリッドと呼ばれている、次世代電力供給システムや、電気自動車の普及など、様々な分野で広がりを見せています。
日本は、オイルショック以降、省エネルギー関連のビジネスに積極的でした。そのため世界をリードする技術を持っています。
日本でも、いろんな経済対策が考えられています。日本版グリーン・ニューディールがどんなものになるのか、期待されるところです。