買い取り価格の維持は、10年間の予定です。
確かに太陽光発電システムを普及させるには、売電単価をアップすることは良い方法です。
現在でも電力会社が自主的に、23円~25円程度で買い取っていますが、法律で制度化し、50円になるのは画期的なことです。
家庭用の太陽光発電システムに対する補助金が復活したことと合わせ、導入量が増えることが期待されています。
*補助金は1kw当たり7万円
政府は将来的に太陽光発電システムを、現在の20倍~40倍導入することを目標にしているようです。
実際にニュースで取り上げられることも多く、問い合わせや申し込みも多くなっています。
売電単価が2倍になれば、太陽光発電システムを設置するための初期費用を回収できる期間が、半分で済みます。
標準的なシステムなら、10年が目安になると言われています。初期費用を回収できれば、それ以降はプラスになります。
しかし注意するポイントがあります。
売電単価が50円になることで、メリットの出やすい家庭と、出にくい家庭があります。
メリットが出やすいかどうかは、住んでいる人の生活スタイルによって、違ってきます。
日本では、余剰電力を売電する仕組みになっています。(大事なポイント)
*外国では、発電量全体を売電できる仕組みもある
太陽光発電システムで発電した電気は、まず自家消費されます。発電量が自家消費より多ければ、電気が余ります。これが余剰電力です。
余剰電力は、電力会社が買い取ってくれます。あなたから見れば、売電になります。
もし発電量が自家消費より少なければ、電気が足りなくなるので、不足分は通常どおり電力会社から買うことになります。あなたから見れば買電です。
ここで大事なポイントですが、売電できるのは、あくまで余剰電力だということです。
つまり、昼間に余剰電力が出なければ、売電単価が50円でも24円でも同じなのです。
ではどうしたら50円のメリットを出せるのでしょうか?
それは単純なことで、昼間の余剰電力を増やせばよいということになります。
太陽光発電システムは、夜間には発電できないので、余剰電力はありません。
売電できる余剰電力を増やすには、なるべく昼間に電気を使わないことです。
したがって、共働きの夫婦や、子供が学校に行って、昼間は留守にすることが多い家庭では、メリットが出やすいと言えます。
家に誰もいなければ、電気を使うことは、ほとんどありません。使っても家電製品の待機電力くらいです。
逆に自宅で仕事をしている人や、専業主婦、退職した両親のいる家庭では、昼間に電気を使うことが多いので、余剰電力が減ります。もしかしたら出ないかもしれません。
このような家庭では、50円のメリットが出にくいことになります。
余剰電力を増やすには、どうしたらいいのでしょうか?
単純なことですが、太陽光発電のパネルを多く設置すれば、発電量が増えます。
3kw → 4kw
すると昼間に電気を使う家庭でも、余剰電力が多くなる確率が高くなります。
しかしその分、導入コストが高くなってしまうことが欠点です。1kw増やすと、70万円ほど高くなります。
したがって昼間に人がいる家庭では、「節電を心がける」ことが、一番現実的な方法かもしれません。
昼間にエアコンを控えたり、できるだけ夜に家事を行なうようにすることが有効です。
他にも電気契約を二つにする方法があります。実は二世帯住宅では、親世帯と子世帯では別々に契約できます。
この方法は、子世帯が昼間外出していることが多い場合に有効です。
子供(孫)が学校から帰ってきた時は、親世帯(おじいちゃん、おばあちゃんの家)で過ごせば、子世帯の電気を使わなくて済みます。
すると、子世帯側の太陽光発電システムで発電した電気は、ほとんどを売電することができます。
今回の新制度では、問題点も指摘されています。
新制度の財源は、一般の電気料金に上乗せされることになります。数十円~100円程度アップすることが予想されています。
太陽光発電システムは、まだ価格が高いので、経済的に余裕がある家庭でなければ、導入することができません。
つまり、お金がある世帯が太陽光発電システムを導入し、売電するための費用を、一般の人が支えるという、おかしな状態が出てきてしまうのです。
もちろん太陽光発電システムが広く普及すれば、コストが下がるので、多くの家庭で導入することができるかもしれません。
地球温暖化やエネルギー資源の問題から見ても、太陽光発電システムは、日本にとって欠かすことができないものです。
一定期間は、国民みんなでこの制度を支えることが、必要なのかもしれませんね。
理想的には、外国のように、太陽光発電システムで発電した電気を全量買い取ってくれたほうが、もっと普及しやすいと思うのですが。
でもかなり前進したことに間違いはありません。