新制度には、水力発電や地熱発電も対象に含まれるようです。
この全量買取制度は、鳩山首相が掲げた温室効果ガス削減への具体策の一つです。
菅直人副総理の「来年度中に実施したい」との発言を受けて、経済産業省では、来年3月を目処に制度案をまとめる方針です。
既に2009年11月1日からは、太陽光の買取制度がスタートしています。
しかし現状では、「余剰電力」をこれまでの約2倍となる「48円/kWh」で買い取るという内容です。
太陽光発電システムが発電した電力は、まず家庭内で消費され、余った電力(余剰電力)を電力会社が買い取ってくれるという仕組みになっています。
したがって、太陽光発電で発電した電力の全量を買い取るというわけではありません。
そのため、もし余剰電力が無ければ、まったく売れないことになります。
現状の制度は、発電量の多い日中は留守で、家事を主に早朝か夜に集中して行なうライフスタイルの家庭に向いています。
逆に日中は家に居ることが多く、電力をよく使うライフスタイルの家庭では、余剰電力が出難いため、なかなかメリットがありません。
専業主婦や小さな子供のいる家庭、高齢者、定年退職後の人は、日中に家に居ることが多いですよね。するとどうしても日中の電力消費量が多くなります。
そのような家庭では、売電量が少ないため、不利なわけです。
現在検討中の新しい全量買取制度では、まず太陽光発電システムで発電した電力の全量を、電力会社が買い取ります。
そして家庭内で消費される電力は、通常の家庭と同じように、電力会社から購入する仕組みです。
すると太陽光発電で余剰電力がなかなか出にくかった家庭でも、売電と買電の価格差でプラスになる可能性が高くなります。
プラスが大きくなれば、太陽光発電設備を導入する際の費用が、短期間で回収できるため、さらに導入が進むことが期待されています。
良い事ばかりの全量買取制度ですが、課題もあります。
現状の買取制度もそうですが、費用は通常の電気料金に上乗せされる仕組みになっているため、日本の全世帯で負担することになります。
全量買取制度だと、さらに負担増になることが予測されます。
また住宅用の太陽光発電システムは、以前より安くなり、補助制度も再開されたので、確かに購入しやすくはなりました。
それでもまだ200万円を超える高額商品なので、一般的な家庭では、簡単に導入することができません。
太陽光発電システムを導入しているのは、経済的に余裕のある家庭が多いです。それか環境への意識が高い家庭です。
経済的に苦しい家庭では、導入したくても、出来ないのが現状です。
買取制度では、太陽光発電システムを導入できない家庭でも費用を負担する仕組みになっています。
そのため、「経済的に苦しい人が、余裕のある人を支えるのはどうか?」という考えもあるようです。
全量買取制度の導入で先行しているドイツでも、電気利用者の負担増が問題になっています。
対象となる自然エネルギーが広がることは良いことですが、発電量が増えれば、買い取る費用も多くなります。
その辺のバランスを上手く調整することが、新しい全量買取制度の成否を分けるポイントになりそうです。