従来の太陽電池は、基盤にガラスが用いられているため、重いのが欠点です。重いと設置する屋根に負担がかかるので、ある程度は屋根の強度が必要でした。
またガラスだと硬くて曲げられないので、曲面に設置することができませんでした。
有機薄膜太陽電池は、「薄くて曲がる」次世代の太陽電池です。
有機薄膜太陽電池は、ポリエステルフィルムなどのプラスチックに、有機薄膜半導体を塗って製造できます。
厚さは1mm程度しかありません。軽くて薄いので曲げることができます。
有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池と比較すると、重さが15%~25%程度になります。
軽くて曲げられると、これまでは取り付けることが出来なかった場所へも、設置できる可能性が出てきます。
そのため、太陽光発電システムが、もっと広がるのではないかと、期待されています。
有機薄膜太陽電池の製造には、印刷技術が応用できるため、大量生産しやすいと言われています。企業の設備投資も少なくて済みます。
コストがかからず、大量生産できれば、価格が安くなる可能性があります。
有機薄膜太陽電池は、同じ有機太陽電池として有力な色素増感太陽電池よりも、さらに製造コストが安くなると言われています。
ただ、有機薄膜太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率(4%~6.5%)が、従来の太陽電池に比べると低いです。
今はエネルギーの変換効率や、耐久性を高めることが課題となっています。
有機薄膜太陽電池の開発には、化学メーカーをはじめ、各社が取り組んでいますが、2012年~2015年ごろを目処に実用化される予定です。
住友化学、三菱化学、東レなどの開発、実用化に注目してください。